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河野建築のよもやま話~1~

河野建築の更新担当の中西です。

 

 

【光と風をデザインする対話】

「もっと明るい部屋にしたい」「寒さを何とかしたい」
そんなご相談から始まるのが“窓リノベーション”。
しかし、単に窓を取り替えるだけで本当に満足できるのでしょうか?

答えは「NO」です。
本当のリノベーションは、「暮らしに何を求めているのか」を読み取るヒアリングから始まります。

今回は、窓リノベーション工事において“ヒアリングがなぜ重要なのか”を、プロの視点で深く掘り下げてお伝えします。


1. 窓は「住まいの課題」が集まる場所

窓は、外と内をつなぐ“境界”であり、
断熱・遮音・採光・通風・防犯・景観など、多くの要素が重なる場所です。

こんな悩みがよく聞かれます:

  • 夏は暑く、冬は寒い

  • 結露がひどく、カビが出る

  • 外の音が気になる

  • 防犯面が不安

  • もっと光を入れたい

これらの課題に最適な解決策を導くには、「何が一番の悩みか」を丁寧に聞く必要があるのです。


2. ヒアリングは“表面的な要望”の奥にある本音を探ること

お客様は「結露が気になる」と言うかもしれません。
でも、本当は「子どもの健康が心配」「掃除の手間を減らしたい」といった**“暮らしの質”への願い**が隠れていることも。

ヒアリングで聞くべき視点:

  • 現在の窓の使い方、開閉頻度

  • 時間帯ごとの温度差や光の入り方

  • 窓の先に見える景色・騒音の有無

  • 将来的な家族構成の変化

窓は「人の暮らし方に応じて設計されるべき」もの。
だからこそ、生活習慣や価値観に踏み込んだヒアリングが欠かせません。


3. ヒアリング次第で“提案力”に差が出る

同じ「寒さ対策」でも、提案内容は大きく変わります。

  • 内窓の設置で断熱強化

  • トリプルガラス+樹脂サッシで熱貫流率改善

  • 窓サイズ変更+遮熱ブラインド提案

  • 外構とのバランスを考慮した庇設計

これらはすべて、お客様の生活背景・家族構成・住環境を聞き取れて初めて適切に選べる提案です。


4. お客様との信頼関係は、ヒアリングから始まる

リノベーションは高額かつ長期にわたる場合が多く、
「この人になら任せられる」と思っていただくことが成功の第一歩です。

信頼を生むポイント:

  • 否定せず、丁寧に「なぜ」を聞く

  • ご家族全員の意見を聞き、まとめる

  • メリットだけでなく、制約も正直に伝える

「寄り添ってくれる」という印象が、お客様の安心感を育てます。


5. ヒアリングは“未来の暮らしを共につくる”時間

窓の交換は「今」の問題解決だけではありません。
ヒアリングを通じて、5年後・10年後の暮らしに合う選択を導くことができます。

  • 高齢化に備えた開閉のしやすさ

  • 子育て期を見据えた安全性

  • 賃貸化や売却も視野に入れたデザイン性

ヒアリングとは、未来のための設計対話
それを丁寧に重ねた先に、本当に価値あるリノベーションが生まれます。


ヒアリングは“窓を通して暮らしを読む”プロの仕事

窓リノベーション工事において、ヒアリングは単なる確認作業ではなく、
お客様の生活そのものを読み解く、設計者・施工者にとって最も重要な工程です。

見える窓だけでなく、見えない想いまで丁寧に受け止める。
その姿勢が、信頼と感動のリフォームにつながっていくのです。